スモールビジネスオーナー(1人社長、フリーランス、ネットビジネスなど)であれば、誰しも「バーチャルオフィス」という名前を一度は耳にしたことがあると思います。
しかしバーチャルオフィスが具体的にどういうサービスなのか、どんなメリットとデメリットがあるのか、イマイチわからないですよね。
また世間的には怪しいイメージも残っているので、「何かしら法律に引っかかるんじゃ?」と、漠然とした疑問を抱いている人も多いと思います。
この記事を読めば、
- バーチャルオフィスの基本的なサービス内容
- 類似サービスとの違い
- メリット/デメリット
- 法的に問題なく、安心して利用できること
- バーチャルオフィスを使うべき人の特徴
- バーチャルオフィスの選び方
といったバーチャルオフィスの基本知識を全て理解できます。
スモールビジネスオーナーの頭の痛い悩みである、コストやプライバシーの問題を解決してくれる救世主であると気づくでしょう。
もしあなたが現在進行形でスモールビジネスをしている、あるいはこれから始める人なら、バーチャルオフィスは最高のパートナーになります。ぜひ最後までチェックしてください!
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスを一言で表現するなら、「実際のオフィススペースを貸し出すのではなく、ビジネス用の住所だけを貸し出すサービス」です。その住所を、名刺やホームページに記載したり、法人登記先として使用したりします。
インターネットの登場により、個人が自宅で働くことが当たり前になりました。自宅で働けるならわざわざ高い賃料でオフィスを借りる必要なんてありませんよね。
しかし自宅の住所を全世界に公開するのは、プライバシー確保の観点で怖い。自分だけでなく家族も一緒に住んでいるなら、尚更自宅の住所を公開したくないはずです。
バーチャルオフィスが提供するサービス内容
バーチャルオフィスの基本機能は「住所貸し」ですが、実際には複数の機能をパッケージ化したサービスになっています。
以下は、一般的なバーチャルオフィスで共通している機能です。
- 住所貸し
:名刺やHPに記載する住所を貸し出す。法人登記やネットショップの特商法対応にも使用可能 - 郵便転送
:バーチャルオフィスに届いた郵便物を受け取り、指定の住所へ転送する - 電話転送
:固定電話番号を貸し出し、かかってきたコールを指定の電話番号へ転送する - 電話応対代行(秘書代行)
:固定電話番号を貸し出し、かかってきたコールの一次受けをした後に要件をお知らせ - 貸し会議室
:会議室を時間貸し。店舗が複数あるバーチャルオフィスは1契約で全拠点の会議室を使用可能
なおこれらの機能は、デフォルトで全てついてくるわけではありません。基本は「住所貸し」と「郵便転送」で、それ以外はオプションになっています。
必要な人はよりリッチに、不要な人はより安くサービスを受けられます。
バーチャルオフィスの相場感
ピンキリではありますが、だいたい月額1,000〜4,000円がバーチャルオフィスの相場です。
オプションを盛り盛りにしても、月額1万円に届かないサービスがほとんどです。
もっとも需要のある「住所貸し(法人登記あり)」と「郵便転送」のセットなら、月1,500円程度を見ておくと良いでしょう。
類似サービスとの違い
バーチャルオフィスとよく似た名前で、違いがわかりづらいサービスがいくつかあります。
- シェアオフィス(コワーキングスペース)
- レンタルオフィス
- メタバースのバーチャルオフィス
なおバーチャルオフィスを含め、登場してから比較的日が浅く日々進化しているサービスなので、正確な定義があるわけではありません。
シェアオフィス(コワーキングスペース)との違い
シェアオフィスはバーチャルオフィスと異なり、実際の作業スペースを提供します。個室ではなく、他の会員と部屋を共有するため「シェアオフィス」と呼ばれています。
座席の他に、電源や無線インターネット、ドリンクサーバーなどが完備されており、快適に作業することができます。
「シェアオフィス」と「コワーキングスペース」は、同じものとして語られる場合もありますが、
- 固定デスクがある→シェアオフィス
- 固定デスクがない(=フリーアドレス)→コワーキングスペース
と区分することもあります。
レンタルオフィスとの違い
「レンタルオフィス」も定義が定まっていないところがあります。
個室を借りるタイプをレンタルオフィスと呼ぶこともあれば、シェアオフィスやコワーキングスペースまで含めた概念をレンタルオフィスと呼ぶこともあります(当サイトでは、個室を借りるタイプをレンタルオフィスと呼称)。
では、個室を借りるレンタルオフィスと普通の賃貸オフィスは、何が違うのでしょうか?
両者の違いは、デスクやインターネット、電話などの設備が備え付けられているかどうか。賃貸オフィスは全て自前で用意しますが、レンタルオフィスならサービスの一環で全て利用料に含まれています。
メタバースのバーチャルオフィスとの違い
ややこしいことに、「バーチャルオフィス」と同姓同名の別サービスもあります。こちらは枕詞がついて「メタバースのバーチャルオフィス」と呼ばれることもあります。
こちらは他の類似サービスとは根本的に異なり、純粋なコミュニケーションツールです。住所もオフィススペースも貸し出しません。
メタバースは、離れた場所にいる人同士が集まるインターネット上の仮想空間のこと。わかる方はMMORPGの世界をイメージすると良いでしょう。
メタバースのバーチャルオフィスでは、リモートで社員や関係者が仮想空間にログインします。「アバターが仮想空間にいる=出社している」というイメージです。
その仮想空間をオフィスに見立て、必要に応じてメンバーとチャットで会話したり、ビデオ会議で打ち合わせしたりします。
バーチャルオフィスの主な用途/向いている業種
ではバーチャルオフィスはどんな用途が想定されたサービスなのでしょうか?
- 個人事業主
- スモールビジネスや1人社長
- 創業期のスタートアップ
- ネットショップ
代表的な用途を見ていきましょう。
用途①:個人事業主
自宅がマンションなどで賃貸契約の場合、住所の事業利用がNGとなるケースがあります。その場合は、バーチャルオフィスの住所で開業します。
フリーランスであれば、名刺や請求書、契約書などでバーチャルオフィスの住所を使っても良いですね。
用途②:スモールビジネスや1人社長
起業して法人格を持つと、国税庁のホームページで住所が公開されます。不特定多数の人が閲覧できる状態になるので、自宅住所での登記は避けたいところ。
また賃貸物件の場合、法人登記はほぼNGになります(個人事業主の場合は、看板や人の往来がない事業なら開業OKとなるケースも多い)。
自宅で仕事ができるスモールビジネスや1人社長は、バーチャルオフィスでの起業がベストアンサーです。
用途③:創業期のスタートアップ
スモールビジネスと違い、スタートアップは将来大きな事業へ成長させる目的を持っています。いずれはオフィスを持って大々的にビジネスするとしても、創業期はバーチャルオフィスが向いています。
スタートアップの鉄則は、小さく始めること。今をときめくAppleだって、最初はガレージからスタートしました。
創業期の事業計画なんて、まず間違いなくその通りにはなりません。いきなり多額の資金を投入するのではなく、ムダを徹底的に省き、長く戦える体制で臨むべきです。
そのためには、最初から固定費がかかるオフィスを借りるのは悪手。まずはバーチャルオフィスでコストを圧縮し、軌道に乗ったらオフィスを借りましょう。
用途④:ネットショップ
ネットショップを立ち上げると、「特定商取引法」によりお店の住所や電話番号を掲載しなければなりません。
しかし個人で始めるネットショップやハンドメイド販売だと、大抵は自宅がお店になってしまいます。女性オーナーも多いので、自宅住所を記載するのは抵抗があるはず。
そこでバーチャルオフィスの住所や電話番号をサイトに掲載できます(法律的にもOKという解釈が出ています)。
また商品発送の際は、送付状の発送元や、返品・交換品の送り先として、バーチャルオフィスの住所を使えます。もちろんバーチャルオフィスに届いた品物は、自宅に転送してくれます。
バーチャルオフィスのメリット5選
バーチャルオフィスを使うメリットを整理してみました。
- 圧倒的なコスト削減効果
- プライバシーを守れる
- 一等地の住所で信用度アップ
- 利用開始までのスピードが速い
- 自宅を引越ししたときの手続きがラク
それぞれ見ていきましょう。
メリット①:圧倒的なコスト削減効果
バーチャルオフィスは、月額1,000〜4,000円ほどで利用できます。初期費用は大体5,000円くらいで、0円のところもあります。
対してオフィスを賃貸で借りれば、家賃で月5万〜10万円は吹っ飛んでしまいます。また住宅の敷金は家賃1ヶ月分くらいですが、オフィスだと6ヶ月分とかが普通にあります。
皮算用ですが、初年度1年間を比較してみると、圧倒的な差になってしまいます。
費用項目 | 賃貸オフィス | バーチャルオフィス |
---|---|---|
家賃/月額料金 | 120万円(10万円×12ヶ月) | 19,800円(1,650円×12ヶ月) |
敷金/デポジット | 6ヶ月分(60万円) | 1,000円 |
礼金/初期費用 | 1ヶ月分(10万円) | 5,500円 |
仲介手数料 | 1ヶ月分(10万円) | 0円 |
合計 | 2,000,000円 | 26,300円 |
差額はなんと年間197万円!
これだけ売上を余分に作らなきゃいけないって考えるとキツいね〜
メリット②:プライバシーを守れる
安価にプライバシーを守れるのも、バーチャルオフィスの特大のメリットです。
昔は個人の住所なんて雑誌とかで普通に出てた気がするのですが、それも今や昔。インターネット時代では桁違いの人がアクセスできるので、どんな人が悪意を持って閲覧するかわかったもんじゃありません。
空き巣やストーカーなどの犯罪に巻き込まれたら、お金どころじゃない被害を被るかも。取るべきリスクではありません。
メリット③:一等地の住所で信用度アップ
格安で一等地の住所が使えるというのも、バーチャルオフィスならではのメリットです。
普通は良い立地ほど家賃が上がるので、人気エリアの銀座や渋谷で借りようものならとんでもない金額になってしまいます。しかしバーチャルオフィスの場合は、どこの住所を使ってもほとんど料金が変わりません。
一等地の住所を見ると、それだけでお客さんからの信用度がアップします。インターネット時代の現代であっても、これが意外とバカにできません。
また一般論として、地方(例:鹿児島)のクライアントが、違う地方(例:新潟)の会社に発注しようと思うケースはそうありません。しかし東京の会社に発注するケースはごくごく普通です。
メリット④:利用開始までのスピードが速い
起業時は、税務署やら社会保険事務所やら、たくさんの書類を方々に提出しなければなりません。法務局での登記が1番最初なので、登記に使う住所取得に時間がかかるとボトルネックになって、その後の手続きも全部後ろ倒しになっていきます。
賃貸契約をすると、何度か日程を調整して不動産屋に訪問したりして、それなりに時間を要します。早くても1ヶ月くらいはかかるのではないでしょうか。
その点、バーチャルオフィスは必要書類を用意して申し込めば、最短即日で利用可能です。スピーディーに手続きできてストレスがありません。
メリット⑤:自宅を引越ししたときの手続きがラク
やったことがある人は共感してもらえると思いますが、法人の移転手続きはかなり骨が折れます。かなりの量の書類を書かなければなりません。
- 法務局:移転の登記申請(旧住所の管轄税務署へ提出)
- 税務署:移転申請(移転前の税務署へ提出)
- 都道府県税事務所:移転申請(新旧両方の事務所へ提出)
- 市区町村役場:移転申請(新旧両方の役所へ提出)
- 年金事務所:移転申請(移転前の事務所へ提出)
- 銀行/郵便局/その他契約サービス:住所変更手続き
- 本店移転:管轄内3万円 / 管轄外6万円
- 代表者の住所変更:1万円
- 名刺やホームページの変更にかかる費用実費
自宅住所で法人登記していた場合、引っ越しの度に、本店&代表者の両住所を変更することになります。運良く管轄内になるケース(=近場での引越し)は多くないと思いますので、費用は7万円+αを覚悟してください。
もしバーチャルオフィスで登記していれば、変更するのは代表者の住所のみになります。書類手続きが少しラクになり、費用は1万円だけで済みます。
バーチャルオフィスのデメリット5選
メリットがあれば、もちろんデメリットもあります。尖ったサービスなので、デメリットもそれなりです。
- バーチャルオフィスでの開業が違法となる業種がある
- 住所かぶりする企業が出てきてしまう
- 金融機関などの審査が厳格になる場合がある
- 郵便が届くのに余計な時間/送料がかかる
- バーチャルオフィスを使っても、自宅住所がバレることがある
あなたにとって、許容できるレベルかチェックしましょう。
デメリット①:バーチャルオフィスでの開業が違法となる業種がある
実はバーチャルオフィスでの開業が違法になってしまう業種があります。
- 一部の士業
- 人材派遣業
- 有料職業紹介業
- 探偵業
- 不動産業
- 建設業
- 古物商(中古品販売・リサイクルショップ)
- 廃棄物処理業・不用品回収業
- 金融商品取扱業者
- マッチングサイト(出会い系)
- 風俗業
ケースとしては多くないと思いますが、念の為引っかかっていないか確認してみてください。
デメリット②:住所かぶりする企業が出てきてしまう
リアルなオフィスビルと異なり、バーチャルオフィスは入居者の数に上限がないので、同じ住所の企業が多数存在することになります。人気のバーチャルオフィスほど、住所かぶりしやすくなります。
ただ他の企業と住所がかぶって、現実的に何か不都合があるのでしょうか?
あるとすれば、顧客や取引先が住所をネット検索した際に、同じ住所の企業の多さから「ははん、この企業バーチャルオフィスだな」とバレてしまうことくらいです。
バーチャルオフィスを使うことは何ら後ろめたいことではありませんが、結局はお客さんや取引先がどう感じるか次第です。業種によっては、信用してもらえず営業上の足枷になってしまうかもしれません。
デメリット③:金融機関などの審査が厳格になる場合がある
バーチャルオフィスが詐欺などの犯罪に使われた過去があり、マネーロンダリング防止を目的として2008年に施行された「犯罪収益移転防止法」では、バーチャルオフィスも対象に含まれるようになりました。
その頃から、バーチャルオフィスユーザーに対する金融機関の審査がグッと厳しくなりました。
現在でもリアルオフィスがある企業よりは厳しめではあるものの、
- バーチャルオフィスが契約時にキッチリ本人確認するようになった
- 個人の起業が一般的になり、バーチャルオフィスへの理解が広まった
といった要因からか、以前よりは寛容になっています。
デメリット④:郵便が届くのに余計な時間/送料がかかる
郵便物は一度バーチャルオフィスに届き、そこから自宅へ転送されるため、どうしてもタイムラグが生じます。即時転送をお願いしても、1〜3日程度は遅れてしまいます。
どうしても急ぎ対応が必要な郵便物がある場合は、契約店舗で郵便物のピックアップができるバーチャルオフィスを選びましょう。
またほとんどのバーチャルオフィスは、転送に手数料は取らないものの、送料実費はユーザー負担になっています。この点も理解しておきましょう。
デメリット⑤:バーチャルオフィスを使っても、自宅住所がバレることがある
実はバーチャルオフィスを使っていても、自宅の住所がバレてしまうケースがあります。
登記簿謄本には代表者の住所が記載されています。法務局へ行ってお金を払えば、誰でも閲覧することができてしまいます。
詳しくは↓の記事で解説しています
バーチャルオフィスにまつわる4つの誤解
今でも「バーチャルオフィス=怪しい」と感じる人は、一定数いると思います。
そのせいか、「バーチャルオフィスでは、〇〇ができない!」という誤解がしばしば聞こえてきます。
- バーチャルオフィス自体は違法ではない
- 法人銀行口座が開設できないという誤解
- 融資を受けられないという誤解
- 社会保険に加入できないという誤解
これらの誤解を払拭しておきましょう。
誤解①:バーチャルオフィス自体が違法
漠然と、「バーチャルオフィスは違法なのでは?」というイメージを持っている人もいると思います。
- 法人登記の本店所在地には制限がない
- 特定商取引法の表記でも認められている
という法的根拠から、バーチャルオフィスは違法ではありません。別に怪しくもありません。
誤解②:法人銀行口座が開設できない
かつては本当に厳しい時代もありましたが、現在はバーチャルオフィスが理由で、法人銀行口座が開設できないということはありません。
ただバーチャルオフィスユーザーは、これから事業を始める状況だと売上が少なく、ホームページも用意できていない場合があります。その上オフィスもないとなれば、事業実態が見えず、審査に落ちるケースはあります。
バーチャルオフィスだから審査に落ちるのではなく、あくまで事業の実態が見えないからです。
またずさんな運営をしているバーチャルオフィスだと、違法業者が入居していて、住所が汚れている可能性があります。そのせいで審査に落ちるケースはあり得ます。
- 信頼できるバーチャルオフィスを選ぶ
- 個人事業主である程度売上を作ってから法人成りする
- ホームページやパンフレットを作る
- 各種プラットフォームに商品を出品して事業実態を見えやすくする
- ネット銀行で口座開設を申請する
といった対策を行うことで、より口座開設しやすくなると思われます。
誤解③:融資を受けられない
口座開設の延長のような話ですが、金融機関から融資が受けられないというのも誤解です。
融資が認められるかは、あくまで事業計画の内容次第です。
誤解④:社会保険に加入できない
社会保険の加入先となる保険者は、大きく「健康保険組合」と「協会けんぽ」の2種類に分かれます。
- 健康保険組合
:大企業やそのグループ会社、特定の業界ごとに保険者がある。対象企業だけが加入できる - 協会けんぽ
:上記以外の全企業が加入する保険者。単独の保険者としては、最も規模が大きい
健康保険組合はその保険者のさじ加減次第ですが、そもそも特定のグループ企業や特定業界に属していないと加入できません。バーチャルオフィスユーザーは、普通こちらを選ぶことはないでしょう。
基本的に有象無象の小規模事業者は、協会けんぽに加入します。協会けんぽは、バーチャルオフィスを理由に断ることはありません。
バーチャルオフィスが向いている人
ではバーチャルオフィスが向いているのは、どんな人なのでしょうか?
- 自宅で作業が完結する人
- プライバシーを守りたい人
- (主に賃貸で)自宅住所で登記できない人
- 士業やコンサルなど、信用が重要な職種
- いま住んでいる住所以外で起業したい人
これらの特徴に1つでも当てはまる人は、バーチャルオフィスが向いています。
オススメ①:自宅で作業が完結する人
フリーランスやネットビジネス事業者など、自宅を事務所にして働ける人は、バーチャルオフィスがピッタリです。
郵便転送など、自宅で事業を行う上で必要な機能は揃っているので、困ることはほとんどありません。
オススメ②:プライバシーを守りたい人
家族と同居している人や小さな子供がいる親は、自分だけの都合で住所を公開するわけにはいきません。
女性の一人暮らしなら、ストーカー被害が気になります。不用意に住所を教えたくありません。
上記に該当しなくても、このご時世、不特定多数の人に住所が知られるのは避けたいところ。プライバシーの確保のためには、バーチャルオフィスがピッタリです。
オススメ③:(主に賃貸で)自宅住所で登記できない人
賃貸マンションの場合、個人事業主の開業までならOKになるケースもありますが、法人登記はほとんどNGです。
大家さんが建物を住居用として不動産登記していると、入居者に勝手に事業用に使われてしまっては困るのです。
賃貸住まいの方は、ぜひ賃貸借契約書を見てみてください。多くの人は、「住居用以外の用途に使用しない」という旨が書かれていると思います。
オススメ④:士業やコンサルなど、信用が重要な職種
信用度が営業上の重要になる業種は、バーチャルオフィスの一等地の住所がメリットになります。
士業やコンサルなど、主にBtoBの事業を行っている人が当てはまります。
オススメ⑤:いま住んでいる住所以外で起業したい人
中には地方の住所で起業したい人もいるでしょう。地方創生やUターン起業を考えている人は、都心に住みながら地方で起業したいはず。
地方の住所を使えれば、地元企業だと認知されやすくなりますし、自治体のサポートを受けることもできるかもしれません。
バーチャルオフィスの選び方
バーチャルオフィスを選ぶ上で、チェックしておきたい項目があります。
- 価格
:同じスペックなら安いサービスを選ぶ。ただ安ければ良いのではなく、コスパの高いサービスを選ぶ - 機能
:必要な機能が提供されていることを確認する。「法人登記」や「郵便転送」は、ほとんどの人がマスト - 立地
:「営業上有利な東京の一等地」や「自宅に近い地方住所」が選択できるか。気にしない人は無視してOK - サポート
:ビジネスまで踏み込んでサポートしてくれるか。「法人銀行口座開設サポート」が代表的。ただしマスト要件ではなく、迷った際の加点要素 - 信用度
:「悪徳業者が入らないようキチンと審査をしているか」「長期にわたってサービスを継続してくれるか」を見る。ただし外見からわからないので、運営企業や運営歴などから総合的に判断する - クチコミ
:良いクチコミもそうだがも、むしろ悪いクチコミに注目する。許容できない悪評がないかをチェックする
なおどの項目を重視するかは、人によって変わります。
バーチャルオフィスを導入するタイミング3選
バーチャルオフィスを使い始めるのに最適なタイミングはあるのでしょうか?
いつでも「必要」と思ったときがベストタイミングではあるのですが、特にオススメしたいタイミングがあります。
- 法人成りのタイミング
- 引越しのタイミング
- 売上が上がってきたとき
これらのタイミングに当てはまったら、機を逃さずバーチャルオフィスを導入してください!
タイミング①:法人成りのタイミング
絶っっ対に逃したくないのが、法人成りのタイミング。個人事業主時代は自宅住所で開業している人が多いと思いますが、同じノリで自宅で登記は考えものです。
- 国税庁HPで住所が公開される
- そもそも賃貸契約は登記NGのケースが多い
といったネガティブな面があることをお忘れなく。
また一旦は自宅で登記してしまい、後からバーチャルオフィスを契約して本店移転すれば良いと考える人もいるかもしれません。
しかし前述の通り、法人の移転手続きはとっても大変な上に、結構な額の手数料を取られます。最初からバーチャルオフィスで登記しなかったことを後悔するハメになるでしょう。
タイミング②:引越しのタイミング
引越しは、さまざまな変化が起こるタイミングです。家具や家電を入れ替えたり、電気やガスやインターネットのプロバイダーを切り替えたりと。
その例に漏れず、引越しはバーチャルオフィスを導入する好機でもあります。
もしかしたらこれまでは、プライバシーは気になりつつも自宅住所を公開していたり、賃貸だけどダマで開業や登記をしていたかもしれません。
引越しすると、個人事業主なら納税地変更、法人なら移転登記などの手続きをすることになります。どうせ手続きするなら、この機にバーチャルオフィスに切り替えてスッキリさせましょう。
タイミング③:売上が上がってきたとき
個人がビジネスを0から始めれば、1〜3年ほど売上がほとんど立たないのが普通。売上がなければ自宅住所が知られる機会も少ないので、プライバシーはそれほど気になりません。
しかし売上が上がって露出が増えると、プライバシーの不安を覚えるようになります。新しいお客さんや取引先にどういう人がいるかもわかりません。
新規の取引先が増えてきたら、つまり事業が板についてきたら、そろそろバーチャルオフィスを契約する頃合いです。
まとめ
バーチャルオフィスは、ビジネス用に住所だけを貸し出すサービスです。その住所を名刺やHPに記載したり、法人登記やネットショップの特商法対応に使用したりします。
ちなみに「バーチャルオフィス、クラウド会計、クラウドストレージ」の3つで、業種関係なくマストです
大きなメリットは、「リアルオフィスに比べ大幅なコストダウンを図れること」と「自宅の住所を晒さずにプライバシーを守れること」です。
いまだに怪しいイメージが残っているようですが、違法性はありません。法人ならマスト要件になる「法人銀行口座の開設」や「社会保険の加入」も問題ありません。
自宅で働けるネット系ビジネスとはすこぶる相性が良く、個人起業のスタンダードになりつつあります。使わない手はありません!
まずは次の記事から各社サービスを比較してみてください!
この記事を書いた人
管理人
バーチャルオフィスで起業した個人事業主 兼 マイクロ法人の社長。バーチャルオフィスの住所で、法人登記&法人銀行口座の開設も経験済み。
事業はメディア運営&ハンドメイド作品の販売。インターネット上で完結する事業なので、作業はもっぱら自宅。
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