バーチャルオフィスは、主に自宅でビジネスをする人が使うサービスです。バーチャルオフィスの費用は、当然ながら全額経費として計上できます。
しかし会計ソフトで費用を計上する際に、「はて?バーチャルオフィスの勘定科目は何を使えばいいんだろう?」と首を傾げる方も多いのでは?
この記事では、バーチャルオフィスに使える勘定科目と計上の際の注意点を解説します。
勘定科目は「支払手数料」が一般的
最初から答えを言ってしまいますが、バーチャルオフィスの勘定科目には「支払手数料」を用いるのが一般的です。
また性質的に雑費に近いことから、「雑費」の勘定科目で計上することも可能ではあります。しかし雑費の意味合いは、他の勘定科目に当てはまらないような「その他の費用」です。
定期的に発生するバーチャルオフィスの費用を「その他の費用」として計上するのは、スマートではありません。
「外注費」はオススメしない
バーチャルオフィスを利用する場合、必ずと言って良いほど、「郵便転送」のサービスもセットで使います。人によっては、「電話応対代行」も併用しているかもしれません。
これらのサービスは、一部のオフィス業務を外部委託していることになるので、「外注費」として計上も可能です。
しかし外注費は、対個人の取引だと消費税の源泉徴収が必要な場合があります。また源泉徴収せずに外注先へ消費税を支払った場合は、課税仕入取引として扱われ、税務調査で確認されやすくなります。
他の業務委託と一緒くたに「外注費」として計上してしまうと、税区分がややこしくなりますし、記帳の見通しが悪くなってしまいます。
入会金は「諸会費」か「支払手数料」
バーチャルオフィスに限りませんが、一般的に入会金には「諸会費」の勘定科目を用います。
ただし入会金もまとめて「支払手数料」で仕分けてしまっても問題ありません。
バーチャルオフィスは月契約よりも年契約にしたほうがコストが下がる場合が多く、入会金と向こう1年間の利用料をまとめて支払うケースが多いです。まとめて「支払手数料」で計上してしまった方がラクかと思います。
バーチャルオフィスの費用を計上する際の注意点
基本的には「支払手数料」の勘定科目を使えばOKですが、例外もあります。見ていきましょう。
細かい勘定科目を分けたい場合
バーチャルオフィスは、様々なサービスがパッケージ化された複合サービスです。
一般的な「住所貸し」なら「支払手数料」の勘定科目だけですが、オプションを追加している場合は、オプションの内容によっては勘定科目を分けてもOKです。
例えば次の通りです。
- 郵便転送/電話転送/FAX
→「通信費」 - 会議室/会議室でのプロジェクター利用
→「会議費」や「賃借料」 - 秘書代行
→「外注費」
ただし細かく仕分けるかどうかは、その企業の記帳の仕方次第です。バーチャルオフィス以外の費用と同じルールになるように記帳すべきでしょう。
ちなみに勘定科目の分類に絶対的なルールはありません。企業側の裁量に任されていますが、後から遡って確認できることが大切です。
シェアオフィスやレンタルオフィスの場合
通常のバーチャルオフィスは、住所だけ借りるサービスです。実際にビルのスペースを借りるわけではないので、「賃借料」や「地代家賃」の勘定科目は用いません。
しかしバーチャル利用だけでなく、住所にある実際の建物を利用する
- 「シェアオフィス(またはコワーキングスペース)」
- 「レンタルオフィス」
の場合は「支払手数料」ではなく、「賃借料」や「地代家賃」の勘定科目を使います。
シェアオフィス(またはコワーキングスペース)なら「賃借料」
シェアオフィス(コワーキングスペース)は、個室ではないスペースを他の会員と共有するサービスです。デスクは固定で付与されるケースもあれば、固定席なしで空いている席を使うケースもあります。
このような用途の場合は、「賃借料」を使うのが妥当です。
レンタルオフィスなら「地代家賃」
レンタルオフィスの明確な定義は難しいところですが、ここでは「個室のオフィスが与えられているサービス」ということにしましょう。
個室が区切られている場合は、「地代家賃」を使うのが適当です。
通常レンタルオフィスは、賃貸借契約を交わさず、サービス利用申込書で申し込みます。「賃貸借契約じゃないのに地代家賃?」と疑問に感じるかもしれませんが、仕分けは契約形態によって決まるわけではありません。
まとめ
住所を借りるだけのバーチャルオフィスなら、勘定科目は「支払手数料」を用いるのがベストプラクティスです。
会議室などのオプションを使っている場合は、一緒くたに「支払手数料」でもOKですし、オプション内容に即した勘定科目に分割してもOKです。
ただし、物理的なスペースも併用するサービスは別。
- 共有スペースを借りるシェアオフィス(コワーキングスペース)なら「賃借料」
- 個室を借りるレンタルオフィスなら「地代家賃」
を使いましょう。
この記事を書いた人
管理人
バーチャルオフィスで起業した個人事業主 兼 マイクロ法人の社長。バーチャルオフィスの住所で、法人登記&法人銀行口座の開設も経験済み。
事業はメディア運営&ハンドメイド作品の販売。インターネット上で完結する事業なので、作業はもっぱら自宅。
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